062951 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

♪わさわさの妄想部屋♪

♪わさわさの妄想部屋♪

水面下~銀~

   人はいつか 「現実」から「白」へ辿りつく


――そんなもの無くても ほら
空は綺麗だよ

覚えている

それは彼が言った言葉
あのころの私にくれた
小さくて 大切な力
だけど あのころの私は分かっていなかった
ただ意味も分からず その言葉が温かくて
彼からもらったプレゼントのように
私の 心にあった

だけど 私は 壊れてしまった

だから 今なら分かる
私は――


――「銀」
水面下が奏でる 最終章 第二幕
それは 神のみぞ持ちたる 二つ目の奇跡
「無限」が横だとするならば 「銀」は縦
人が手にするには あまりにも悲しすぎる力

少女は 拒絶した――


――そんなもの無くても ほら
空は綺麗だよ


世界は もっと素朴で
素直で
優しくて

何も拒まない
美しいものだよ


彼は そう言おうとしたのだろう

私は剣を握っていた
憎み 恨み 疑い
全てを拒絶していた私に

彼は そう言った

悔しい
悔しいよ

あの時 私が剣から手を離していれば
もっと早く気づけたのに……

もう 遅いんだね……

だけど――

私は前に進む

そして叫ぶ

――私が求めていたのは 「銀」じゃない

「追憶」から逃れられず
差し出された「慈愛」の手をつかむことも出来ず
「時」からも捨てられた……

だけど私は 最初からたった一つのことしか「願」っていない
そしてそれ以外 何も「願」わない……

――もう一度だけ
 私に 光を見せてください


「銀」とは「時」とは異なる世界

望んではいけない
だから 彼らの前に立つ

その人の 心を見るために


――そんなもの無くても ほら
空は綺麗だよ


それは 少女の「正義」
守りたかった 大切なもの

そしてまた その「正義」が少女に宿る


――負けは しなかった


ありがとう


少女は言う


貴方の「願い」が 綺麗だったから
……ううん 私は背中を押しただけ


「少女」は言う


……もう 行くね


少女は微笑んだ
もう一度 「少女」を振り返る


――ありがとう


「少女」は そっと微笑み返した


そして少女は「白」へ辿りつく


何も恐れず ただ一途になり
死して尚 彼を想い続けた少女が 掴んだものとは……

そして水面下は 空のように静まり返る
十二個の世界を映し終え 水面下は 最後にどんな世界を映すのか
二人がたどり着いた世界は 何処なのだろうか……

男は何も言わない
ただ 少女の行く末を見守るだけ


~貴方に「白」はありますか?




© Rakuten Group, Inc.